Trust Platform で実現される DApps エコシステム【TST トークン】

今や、Trust ウォレットは最高のUI/UXを武器に、最も人気の Ethereum モバイルウォレットとなりました。

そんなTrust が先日新たに Trust Platform というモバイルを中心としたエコシステムを発表しました!

これは、現在で言うところの AppStore や Google PlayStore 、いや、 WEB3.0 の世界のモバイルOSといった位置づけになるポテンシャルを秘めていると感じています!

公式サイトリリースされたので、ホワイトペーパーを中心に解説したいと思います。
公式サイトはこちら

2018/7/2追記
Trust Platform の ICOは中止になりました。
公式の周知は「Trust Platform Announcement #3 — Token Sale Canceled」をご覧ください。

背景としては法律等の課題があげられます。
Trust Wallet はさらなる進化を遂げるべく開発が続いていきます。
Trust Platform の一部であった SDK や API は開発が続きます。(もちろん既存のウォレットやブラウザも含めて)
また、大きなポイントとしてBitcoin、EOS、NEOといった他のブロックチェーンのサポートも予定しています。

今後に期待ですね!

はじめに

Trust ウォレットは、14万ダウンロード、月間アクティブユーザ6万と、Ethereum モバイルウォレットトップの人気を誇っています。

かなり普及していると思われますが、いまだインターネットユーザ全体からするとごく少数。さらなるブロックチェーン技術の大衆への普及を考慮すると、Trust はまだやらなければいけないことがあるのです。

認識する課題

世間的にはまだブロックチェーンは黎明期。インターネット利用ユーザーの1%未満の、オタク、アーリーアダプター、投機家しかブロックチェーン技術に触れてはいません。

大衆に普及していない原因としては、以下3つがあると考えられます。

Trust が認識する課題
  1. 馴染みのない技術に対して信頼することができない
  2. ユーザー体験 (UX) が悪いため、技術者以外のユーザーが入り込んでこない
  3. デジタル資産やDAppsのための使いやすい管理ツールがないため、ユーザビリティが低い

ビジョン

Trust はこれからの時代における Web 3.0 、DAppsの重要性を認識しており、トークン管理の複雑さの解消によって大衆をブロックチェーンの世界に引き付けることが出来ると考えています。

Trust エコシステムを構築することで、以下の問題を解決します。

Trust エコシステムによる解決する問題
  1. 複雑なユーザインタフェース
  2. 仮想通貨のための実生活アプリケーションの欠如
  3. 冗長な登録、アカウント/パスワード管理
  4. モバイルデバイス対応のDApps不足
  5. DApps開発者へのインセンティブ不足
  6. 検証・評価が可能なDAppsマーケットプレイスの不足

Trust Platformとは

Trust は高いUI/UX、セキュリティを備えたモバイルアプリケーションです。

現在の機能は次の通り。

  • ERC20, ERC223, ERC721トークンを含むETH, ETC, POA, CLO等のデジタル資産の送受信や管理を可能とする Trustウォレット
  • Kyber Network, Bancor, CryptoKitties, OpenSea 等のWeb3.0 DApps とやり取りができる DAppsブラウザ

現状のTrust に関しては「超便利なスマホアプリ! Trust ウォレットの使い方! Ethereum の DApps やってみた!」をご覧ください。

Trust Platform の目標は次の通り

Trust Platform が掲げる目標
  1. DApps や コレクションのための、評価可能なマーケットプレイスを実現する、分散エコシステムを構築する。
  2. Web3.0、ブロックチェーンテクノロジの大衆への普及を促進するためにDApps開発者へインセンティブを与える
  3. ユーザー、プロバイダ、開発者に評価スコアを導入する
  4. プラットフォームをまたがったアカウント管理のためのユーザ検証を促進する

Trust Platform の特徴

Trust Platform は上図の通り、様々な要素で構成されています。
Trust Platform エコシステム内では単一の TST トークンが利用されます。(後述)

Trust ウォレット

Trust ウォレットは Trust エコシステムの中核となる機能です。
まさに、現状皆様が利用しているものです。

Trust DApp ブラウザ

Trust DApp ブラウザは DApps とユーザのやり取りを簡単にする組み込みのブラウザです。
こちらも既に皆様が利用しているものですね。

Trust ID

Trust ID は Trust Platform 上のアカウント管理機能です。

これにより、Trust エコシステム内でのアカウント管理は一つに集約され、ユーザーはサポートされているDApps内でTrust IDを使用することができます。
これは、AppStore で iCloudアカウントを使用するのと同様のイメージです。Trust ID には KYC の機能もあります。

また、IDには評価があり、信頼性の確認に利用されます。これはDApps開発者を検証する際にも利用されます。

分散型 DApp マーケットプレイス

現在のDAppsリストはTrust チームによって手動で選定・作成されたリストです。

分散型 DApp マーケットプレイスは、トークン所有者が様々なインセンティブを使用してコンテンツの品質を維持するように促す、スマートコントラクトに基づいて管理されるリストです。

トークン所有者はリストを制御する権限を持ち、DApps開発者はコンテンツの品質を向上させてリスト収まるように努めます。

Trust SDK

トラストエコシステムでのイノベーションを促進するために、iOS および Android 用のソフトウェア開発キット(SDK)を配布します。
これにより、開発者は仮想通貨の支払いや預金をモバイルアプリケーションに統合することが出来ます。

下図のように、開発したアプリからTrust を呼び出し、署名をして折り返すことが出来ます。

 

Trust API

2つのアプリケーションがお互いに通信してデータを交換できるようにする API を提供します。

例えば、現状すでに開発が進んでいるAPIである「Trust Ray」はブロックチェーン上のトランザクション情報等を取得する手助けをします。

クロスブロックチェーン

断片化している様々なブロックチェーンの相互運用性をさらに発展させるため、Trust ウォレットでクロスチェーントランザクションを有効にします。

例えば、既にTrust ウォレットはPOAネットワークへ切り替えることが出来ますが、今後、POAネットワークと連携して、クロスチェーンソリューションのアプリケーションを構築していきます。

ロードマップ

最先端ブロックチェーン技術の実装を考慮して、ロードマップは絶えず更新されます。詳細は公式サイトをチェックしてください。

TST トークン とは

TSTはエコシステムで使用されるERC20トークンです

TSTの用途

TSTは上図のようにエコシステム内で利用されます。

具体的用途について以下説明します。

DApps 一覧への掲載

トークン所有者は DApp マーケットプレイス上のDAppsを評価し、DApps開発者はマーケットプレイス上場のためにトークンを支払う必要があります。DAppsマーケットプレイス掲載が承認された場合、リスト掲載中は入金したトークンはロックされますが、いつでも取り消すことができます。

受け入れられないDAppsの場合、トークンは没収される可能性があり、没収されたトークンは後述する配分で再分配されます。
その一部は審査プロセスに参加した利用者に賞金として与えられます。

DApps のプロモーション

AppStoreと同様に、開発者はトークンを使用してマーケットプレイス上で目立つ場所に配置してもらえます。
プロモーション料のトークンは後述する配分で再分配されます。

DAppsのレビューと評価

DAppsの品質向上のため、評価とレビューのシステムを導入します。
ユーザーはトークンを使用してレビューをして、DAppsの評価をすることが出来ます。収集されたトークンは後述する配分で再分配されます。
アクティブにレビューをしているユーザーへは報酬としてトークンが付与されます。

ユーザの評価

Trust ID の評価によって悪意のあるユーザからコミュニティを保護します。
トークンを使用することで、他のTrust ID の評価をすることが出来ます
これにより、信頼できる開発者を保証し、逆に悪意のある人物を特定することが出来ます。

コレクションのマーケットプレイス

コレクション資産の売買を行うマーケットプレイスを構築します。
このマーケットプレイスは TST トークンで売買されます。

DApps グラントプログラム

iOSやAndroidプラットフォームのモバイルデバイス上でWeb3.0のさらなる普及に寄与するDAppsに取り組む開発者への助成金制度を導入します。
助成金はエコシステム内で利用されたトークンをプールすることで実現します。

コミュニティのインセンティブ化

DAppsの評価とレビューを最も活発に実施したコミュニティメンバに継続的に配布されるトークン報酬プールを導入します。

ランキング/テストシステムはマーケットプレイスでのユーザーの助けになるとともに、評価済のDAppsの可視性を高め、ベータテストのフィードバックにも役立ちます。

利用されたTSTトークンの分配

上記の通り利用されたトークンはスマートコントラクトにて以下の通り分配されます。これによりすべてのプレイヤーにインセンティブが与えられるようになっています。

  • 開発チーム:40%
  • コミュニティ:30%
  • DApps助成金:20%
  • マーケティングチーム:10%

※ この割合はTGEの調達割合ではありませんのご注意ください。

 

トークン生成イベント( TGE )( ICO )

TSTトークンは プライベートセールと Kyber Network の ICO中継プラットフォーム KyberGO を使用したIEO(Initial Exchange Offering)によって、TGE(Token Generation Event)が実施されます。
※すでにプロダクトがあるのでICOではなく、TGEと言うようです。

プライベートセールまたはIEOの期間中、ボーナスや割引は提供されません。ただし、IEOは購入限度額が設定され、プライベートセールはIEO開始前に実施されます。
プライベートセールは、Trust の長期ビジョンを共有する戦略的投資家にのみ提供され、合計供給量の15%以下が販売されます。

トークンの配分

合計供給量:100,000,000 TST(6/16 update)

  • Crowd Sale : 50% (50,000,000 TST)
  • Reserve: 24% (24,000,000 TST)
  • Team: 16% (16,000,000 TST)
  • Advisors/Partners: 6% (6,000,000 TST)
  • Marketing: 4% (4,000,000 TST)

 

TGEに関するその他情報は以下の通り。

  • ハードキャップ:20,000 ETH(6/16 update)
  • トークン価格:1 ETH = 2,500 TST(6/16 update)
  • パーソナルキャップ:<15 ETH (仮値)
  • TGE実施日:日本時間2018年7月10日21時(6/16 update)

TGEに参加するためには Kyber Network で KYC(本人確認)を行う必要があります。
KYCの方法は「Kyber Network の KYC 登録方法! KyberGO で ICOに参加しよう!」を参照ください。

注意
トークンの販売は Kyber Network の KyberGO のみで実施されます。
その他方法はありませんので、scamに注意してください。

受給権の期間

Trust エコシステムを長期的に働かせるために一定の受給権が設定されています。

  • Crowd Sale : 受給権およびロックアップなし
  • Reserve: Trust エコシステムを構築し、Trust プログラムを維持するために必要な2年以上の受給権
  • Team: 2年以上の受給権が与えられ、6カ月ごとにリリースされます。
  • Advisors/Partners: 1年以上の受給権が与えられ、最初のトークン配布日から3カ月ごとに25%がリリースされます。
  • Marketing: 受給権およびロックアップなし

トークン生成イベント(TGE)収益の使い道

トークン生成イベント(TGE)にて調達された資金は以下の計画で使用されます。
※プロジェクトの進行状況によって変更されることがあります。

コア開発 – 60%

予算の大部分はホワイトペーパー記載の製品開発に費やされます。

マーケティングおよび採用 – 20%

マーケティングと採用に20%を集中させます。現状のTrust が最小限のマーケティング費用で144,000人以上のユーザー数を獲得したことを考えると、大きく成長する可能性を秘めています。

法対応 – 10%

現在および将来の規制への準拠を保証することは Trust Platform を大衆に広げるためには最も重要と言えます。プロジェクトが成長するにつれて法律上の規制要件が増加することが予見されるため、適切な資金確保が必要です。

セキュリティ対応 – 5%

Trust エコシステムで高度なセキュリティを維持するためには、業界のベストプラクティスを研究および実装し、資金をかけてコードベースの定期的なセキュリティ監査の実施が必要です。

UXの研究 – 5%

UXはブロックチェーン技術の導入において非常に重要です。Trust は研究を通じて UX を最適化させます。

さいごに

Trust Platform 、スマホとDAppsの未来に興味がある私は興味津々です!

Trust IDは他のID管理系のプロジェクトと差別化できるのか、トークンがエコシステム内でうまく回っていくのか、等これから知りたいことはいろいろありますね、

発表された勢いのまま書いたので誤り等あれば教えてください。

TGEも参加したいですが、日本人が参加できるのか。。。
注目です!

 

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ABOUTこの記事をかいた人

大手SIer企業で9年間勤務の後、ブロックチェーン・コンサルのスタートアップ"BUIDL"に初期メンバとしてジョイン。 DApps×スマホの未来に期待し、スマホ中心に記事を展開しています。 Binance に買収されたことで一躍有名になった Trust Wallet の日本Telegramグループのadminをやっています。